【著者】 美濃部達吉 著
【発行】1948年
【頁数】412ページ
本書の初版は1930(昭和5)年(『現代政治学全書』の一編)であるが、しばらく絶版になっていたところ、敗戦後、政治の民主主義化が急速に求められるに伴い、「民主政治の中心を為すものは議会政治に外ならぬのであるから、議会制度の研究は新に学会及び政界の注目を惹くに至り、……本書の如きも或は多少の参考となるべきことを念ひ」再版することになったと述べている。
古代から中世の議会制度の起源から論じ、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツの議会制度を比較し、その組織、権限ならびに議院法について叙述した比較研究である。
(底本:1948(昭和23)年12月1日発行 第2版第2刷)
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目次
第一章 議会制度の歴史的発達
第一節 議会制度の起源
一 古代の民会
二 中世西欧諸国の等族会議
三 イギリスに於ける議会制度の確立
四 第十六世紀以後に於けるイギリスの議会制度の発達
第二節 議会制度の普及
一 アメリカ合衆国及び其の各邦の憲法
二 フランス革命と其の成果
三 王政回復以後に於ける仏蘭西の県政の変遷
四 その他のヨーロッパ諸国の議会制度
第二章 議会制度の本質
第一節 国民代表としての議会
一 代表の観念及び其の種類
二 議会の国民代表としての性質
第二節 国家機関としての議会
一 議会の立法府としての性質
二 政治統制の機関としての議会
三国家組織に於ける議会の地位
第三章 議会の構成
第一節 議会の一院制と二院制
一 歴史的発達
二 二院制度存在の理由
第二節 二院制に於ける第二院の組織
一 連邦に於ける第二院
二 単一国に於ける第二院の概観
三 イギリスの貴族院と其の改造問題
四 其の他の諸国に於ける貴族院式の第二院
五 公選に依る第二院
第三節 二院制に於ける第二院の権限
一 各国制度の概観
二 イギリスの一九一一年の国会法
三 其の他の諸国に於ける第二院の権限の制限
第四章 議会の権限
第一節 立法に関する権限
一 各国制度の概観
二 法律案の提出、国民発案
三 法律案の審議
(一)議会 (二)委員会 (三)討論終結
四 立法の裁可権又は拒否権附国民抗議
(一)君主の裁可権 (二)大統領の拒否権 (三)国民投票
五 憲法の制定又は改正
六 條約に関する権限
七 イギリスの私法律案の立法
第二節 財政に関する権限
一 概説
二 イギリスに於ける金銭法案
(一)歳出予算法案の編成 (二)歳出予算法の議決 (三)仮予算 (四)追加予算、予算外支出、信任予算 (五)収入法 (六)決算の審査
三 フランスの予算制度と議会の権限
四 ドイツの予算制度の特色
五 アメリカの予算制度の特色
第三節 政府の監督に関する権限
諸言
一 質問権
(一)イギリス (二)フランス (三)ドイツ
二 審問権
三 不信任決議の権
四 大臣訴追の権
第五章 議院法
第一節 議会の会期
一 召集及び開会
二 通常会と臨時会
三 停会及び休会
四 閉会
五 両院同時開会の原則
六 会期不継続の原則
七 解散
第二節 議院の職員
一 イギリス
二 アメリカ
三 フランス
四 ドイツ
第三節 議員特権
一 議員の報酬
二 議員の其の他の特権
(一)免責特権 (二)不逮捕特権 (三)証言拒絶の権利
第四節 議事法
一 議院規則
二 議事公開の原則
三 定足数の原則
四 議決に関する原則
(一)多数決原則 (二)議決の方法 (三)議長の投票権 (四)一時不再議の原則