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職域奉公論

【著者】 橘樸 著
【発行】1942年
【頁数】221ページ
 「職域奉公」という言葉は第三次近衛内閣の時期に現れた言葉といわれる。

 1940年に大政翼賛会が生まれ、政党が解散してそれに合流すると、これを推進する国民組織として、地域による組織や職業による組織が考えられた。
「職域奉公」とは、「職域組織」を通じて、すべての職業が国家の戦争遂行という目的に協力することを指している。橘樸は1906年に中国に渡り、中国社会を取材対象としたジャーナリスト・評論家として活躍したが、日中戦争の開始に伴い、「傍観者の立場を棄てねばならなくなった」。そして日本を顧みたとき、「日本民族の道徳水準の驚くべき変化」を知り、「日本民族の指導者的性格」を復活させるにはどうすべきかと考え、そのためには「島国根性の克服及び奉公精神の普及」が必要とする(以上『序説』)。

 1942年に刊行された本書は、「大東亜戦争」と「新政治体制」に夢を託した当時の言論人の姿を生々しく伝えている。その語る言葉を、いまの体制派言論人の言葉と比べてみるのも興味深いであろう。橘樸は満州で敗戦の報を聞き、間もなく瀋陽にて失意のうちに没した。

(底本:1942昭和17)年2月25日発行 初版)
予定価格 (PDFのみ):
1,760円(税込) 1,600円(税抜)
予定価格 (PDF+POD):
6,710円(税込) 6,100円(税抜)

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目次

第一節 序説
 一 貧者の一燈
 二 国民組織と憲法解釈の問題
 三 官吏問題補遺
 四 主婦問題補遺
第二節 東洋社会の創造
 一 日支関係の二つの見方
 二 東洋の範囲と其内容
 三 東洋社会創造の指導力
 四 東洋文化の総合者としての日本民族
 五 民族主義運動による国体精神の完成
第三節 民族的性格の改造
 一 大陸発展の諸段階
 二 民族諸性の一応の成立
 三 島国根性の堆積
 四 日本と英吉利との比較
 五 西洋文明と民族性
 六 科学精神と民族性
 七 民族性改造の紙上計画
 八 性格改造の動力としての支那事変
第四節 国体発展の法則
 一 国体明徴工作の出発点
 二 国体発展の法則
 三 国体と階級
 四 天皇と民族
 五 権威と権力との統合
 六 国体と資本主義
 七 国民組織の原理
 八 民族協和の法則
第五節 政治力と国民組織
 第一項 新政治力の淵源及び形態
  一 昭和維新の歴史的性質
  二 維新過程の考察
  三 政治力(党部)と其指導原理
  四 党部と国民再組織
 第二項 指導原理としての王道主義
  一 王道闡明の二つの面
  二 共同社会と集合社会
  三 対立・協和・融合の道
  四 昭和維新の政治力
  五 連盟政治力の構造
 第三項 王道と皇道及び国体
  一 王道に於ける広義二義
  二 皇道と国体
  三 支那の王道
  四 満洲の王道
  五 結論
 第四項 国民組織と其政治性
  一 国民再組織の部門
  二 地域奉公
  三 官吏の奉公
  四 軍人の奉公
  五 文化人の奉公
  六 経済組織者及び労働者の奉公
  七 農民の奉公
  八 主婦の奉公
第六節 職域奉公論
 第一項 官吏の政治性
  一 内憂外患と政治力
  二 東亜建設の起動力
  三 官僚職域の特殊性
  四 官僚の能率性及び道徳性の問題
  五 官僚と政治力との関係
 第二項 主婦の公的機能
  一 封建文化と主婦
  二 躍進する主婦の地位
  三 人口政策道徳化の担任者
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