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実業読本

【著者】 武藤山治 
【発行】1926年
【頁数】236ページ
鐘紡の工場支配人、のちには社長として会社経営に携わり、職工を優遇する「温情主義経営」を実践、いわゆる「日本的経営」の基礎を築いた一人である著者が、その経営哲学を記したもの。実業に最も重要なのは「精神」であるとし、実業の武士道化こそ職業倫理と述べ、勤勉と自制心、独立心を説く。我が国経営思想史を語る上で欠くことのできない一冊。

(底本:1926(大正15)年1月1日発行 初版)
予定価格 (PDFのみ):
1,760円(税込) 1,600円(税抜)
予定価格 (PDF+POD):
6,820円(税込) 6,200円(税抜)

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目次

1 實業と言ふ言葉の意味
ビズネス…實業とは仕事のこと…ゲリーの解釋…殆んど人生其者を指す…武士道と實業精神…『自分は實業家である!』…吾が國民の誤解…實業と虚業

2 實業の精神
實業と道徳…商人と屏風は―…眞の成功の礎…富■大盡…因果はめぐる小車…致富の手段を擇め…西洋の諺に…吾が實業道徳の今昔…拜金思想…百弊の基

3 自尊心
自尊心の意義…一人位の力では…人間一個の力は偉大…自尊心と國家…英國一會社の自信…外務省に捩ぢ込む…然るに吾が商業會議所は…宗教家大會の決議…一實業家の抗議…英國實業家の意氣を見よ…自尊心と義務觀念…弱い道徳心…三十六計述ぐるに如かず…西洋人の義務觀念…英國民の義勇奉公…イートンの健兒…個人主義と奉公心…癩病島の一挿話…惠金よりも賃金…誰れにも自尊心がある…或るストライキと自尊心…名人氣質…心の持ちやう次第…大量生産と社會奉仕…國體的成功を誇れ…遊戯と勞働…自尊心は他尊心…鮮人學生の述懐

4 自制心
醉姿狂態…團體となると…西洋のストライキ…日本のストライキ…電車のスパーク…笑止千萬…恐るベき結果…一生貯金せぬ人…口バート氏の訓戒…貯金をするには…資本は自制心の結晶…見當違ひの非難…不景氣の原因…債權國になれたが…政治家の自制心…政治と經濟の關係…猶ほ遲からず…耐へ難きに耐へよ

5 自治精神
日本人の奇妙な習慣…長い封建政治の餘風…國家に對する依頼心…關東大震災の時…政府に縋がらぬ…桑港大震災の時…憲政の基礎…砂上に樓閣を築くもの…ゲーテの喝破…依らしむベし知らしむべからず…青年團と自治的訓練…公費で青年團へ補助とは…タイムスの一寄書…愛國か愛錢か…ボールドウイン氏の篤行…一大財政難…市政不振の原因…上海の市政…市参事會員は一流の實業家…ジヨセフ・ロウントリー氏…自治の何たるを解せず…義務と利害の兩面より…倫敦・東京・大阪の財政…國費の膨脹と整理…國民が自覺さへすれば…私は悲觀せぬ…株主總會の今昔…會社の社長と役人の古手…章魚配當の愚を悟れ

6 博愛の精神
眞理は愛なり…燒野の雉子夜の鶴…愛を博めよ…平和の礎……獨逸の敗因…島國根性…向ふ三軒兩隣り…世の中を圓く治めるには…治安維持の根本義…眞の金儲けの途…負ひつ負はれつ…社會の恩…博愛心に乏しき國民…リツデル孃と回春病院…日本の癩病患者を憐れむで…顏を合はすも恥かしい…解らない…女の踏切番と藝者…南北戰爭とマンチェスター…正義人道の爲めに…愛は萬事に勝つ

7 卑屈心
『長いものには卷かれよ』…町奴の意氣…金持ちの前でペコペコ…大臣御通過…首相でも普通の乘客…銀行家と兩替屋…幕府時代の金融…お定り相場…十人兩替の見識…今の銀行家顔色ありや…改むべき時機…不都合なる中央銀行制度…ラモント氏の演説…普選と新政黨…自尊心の發露…政策の爭か階級の爭ひ…英國の政黨の分野…精神的負傷者…『心に高下あり』…善玉・悪玉…ブライス子爵の熱辯…惡を行ふ衆人…何時も政府黨が勝つのは

8 品性
品性の意義…固有の美風…各國人の品性試驗場…スマイルスの『品性論』…半可通の新しがり…職工も紳士…未開人の文明中毒…折角の味方を失ふ…富よりも品性…攘夷思想と愛國心…獨逸人の品性…品性の養成所…最初の微笑の輝く時…半分は垢…野次…聽衆は裁判官…衣川の美談…品性は人間の至寶…ルーテル曰く

9 理想
理想と空想…空想を追ふ人…貧乏な小空想家のはなし…フランクリンの謬見…良き目的と正しき手段…先きの百より今の五十…ユダヤ人…理想は高尚な道徳心…子孫の利益の爲めに…理想なき國民…發明の芽生へ…三十五年前に飛行機を設計…關東震災と今村博土の豫言…理想家マクドナルド氏…理想なき政治家…眞に偉大なる國家…精神上の富…興國と亡國…國民的信仰が土臺…事大思想の國民…大は益々大、小は益々小…憲政は有名無實…政治と理想…實業と理想

10 研究の必要
東洋人の雷同性…禪問答と落着き…火事は自宅…舶來思想の丸呑みは危險…フヰリツピンの馬…芝居小屋と會館…鐘紡の糸に苦情…染料問題…國の費用と物の値段…營業税…地租…織物税…酒造税…各種の關税…月收百二十五圓の家計を立てるものがーケ年に負擔する國費の總額…月收五十圓の人は…國費節減は共同の利益…金持をいぢめてみても…政治と經濟の因果關係…「疑」は進歩の基…花は何故紅か…學生と博士…博士の訓戒

11 使ふ人使はれる人
使ふ者の苦勞…人を上手に使う人…店と工場…使はふとすれば失敗…小言や規則攻めでは…便所に糸屑…從業員優遇の設備…親しむこと…温情主義の經營法…高率配當是非…英國でも…風と太陽の競技…『公平論出不平人』…不平の價値…注意凾…下情上達係り…思ひやり…親身の世話…新島襄氏の自傳…可愛いければこそ…使はれる者の心掛け…影での不平は禁物…中間で邪魔…鐘紡では…擧動を愼め…或鐡道會社が其の使用人に示した注意書き…カーネギーの金言…辛抱が肝心

12 責任觀念
責任觀念と義務觀念…英國の誇り…公私二様の義務…自己の職分に忠實なれ…或普選論者の告白…智識階級の責任…宗教改革の起るわけ…キリストの痛罵…富豪の責任…金持ちの自慢話…社會の恩を忘れるな…金持ちの忘恩と思想の惡化…社會奉仕即自己保全…ワナメーカー氏曰く…富豪の盲腸化を戒む…金持の自衛の爲めにも…政治革新學校…最も大なる奉仕…カツドベリー氏を學べ…新歸朝者の談片…日本素通りの理由…米國六代目の大統領…號外と電信技師…社長と代議士…株主各位に謹告…『―お笑ひ被下べし』…ウエルリントンの部下…建國の大精神に鑑みて

13 協同の精神
善事に協力する心…自他を正しくせよ…惡人跋扈善人閉息…協同精神の乏しい理由…紐育の砂糖不買同盟…英國のフード・カウンシル…倫敦市民の協力…O・M・Sの使命…支那人よりも劣る…明治維新と薩長土肥聯盟…大正維新と政治更新聯盟…盲と■と聾の協同

14 失敗
人生は失敗の歴史…ヱヂソンの失敗…天與の才能…スマイルスの失敗觀…七轉び八起きの覺悟…コブデンやヂスレリーでさへ…私の失敗録…此の失敗に鑑みて…安逸も亦苦痛…少く借りること…禍を轉じて福と爲せ…道義的勇氣…『失敗は人生の至寶なり』

15 金儲の秘訣
貧乏は誰も嫌ひ…古今東西同一轍…カーネギーと貧乏詩人…取るに足らぬ富の力…大富豪の貧乏禮讃…儲けたいのが人情…成功の秘訣…運・鈍・根…『艱難汝を玉にす』…キングスレーの短篇より…金儲の第一階梯…百貨店王の生ひ立ち…必ず貯蓄すること…其日暮しとは―…イー・ヱツチ・ゲリー氏…父君の訓威…立身出世の基礎…給仕も株主…金儲けの定石…定石だけでは―…『機會』の神像…好機は再來せず…最後の秘訣…『金』に對する誤解…『金』も畢竟『物』の一種…賣る可きに買ひ、買ふべきに賣る…最近の實例…切り上げが肝心…一將功成り萬卒枯る…金を物と思ふこと…大抵の所で見切りを付けること…金儲と人生…最後の勝利…心の富…正しく儲けて正しく費せ…『金塊を負へる驢馬』

16 人生の眞意義
自由を求めて―…自ら自由を縛ばる…神が人間を創造する時…滿足の心…終生煩悶…何を滿足の標準とするか…永遠の闘爭…奉仕と滿足…先づ人心の改造から
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