【著者】 中山伊知郎 著
【発行】1941年
【頁数】316ページ
日本における近代経済学黎明期を代表する経済学者である著者が、戦時中に刊行した理論書。「戦争経済の問題は根本において経済一般の問題」としつつ、「戦争経済の問題をかかる形において経済一般の問題とすることは、むしろ総力戦の現実が直接に要求するところ」(同)と述べ、純粋理論家としての自らの研究と厳しい社会状況に橋渡しするべく試みている。戦争経済学の古典というべき名著。
(底本:1941(昭和16)年10月20日発行 初版)
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目次
第一篇 戰爭經濟學の基礎概念
第一章 戰爭經濟學の本質
一 二つの見解
ニ 戰爭經濟學の本質
三 新たなる與件としての戰爭
第二章 戰爭經濟の安定と進歩
一 戰時經濟と戰爭経濟
ニ 經濟に於ける自由と統制
三 戰爭經濟安定の條件
四 戰爭經濟進歩の條件
五 安定と進歩の矛盾
六 統制経濟の積極性
第三章 安定と進歩の經濟學的意義(經濟的厚生の概念を中心として)
一 接近の方法
二 經濟的厚生と非經濟的厚生
三 貨幣的限定
四 貨幣的と經濟的
五 兩者の一致と不一致
六 吾々の問題への歸結
第四章 經濟と與件
一 獨立變數と從屬變數
二 與件設定の一般的意義
三 人口論の場合
四 長期の經濟學と短期の經濟學
第二篇 戰爭經濟力の集中と育成
第五章 潜在的戰爭力としての經濟
一 武力と經濟力
二 潜在的戰爭力の概念
三 集中と育成
四 集中と育成の具體的問題
五 經濟統制の必然性
六 戰爭經濟に於ける均衡の性質
第六章 戰爭經濟の性格
一 戰爭經濟を超ゆるもの
二 中小工業の問題
三 集中と育成との調和
四 廣域經濟の問題
五 未解決の論點
六 二つの歸結
第七章 國民的自主の要求と國際分業の利益
一 問題の成立
二 鬼頭教授の説とオーリンの説
三 新秩序への要望
第八章 戰爭經濟力の測定
一 測定問題の所在
二 測定方法に於ける重點の移動
三 綜合的判斷
四 生成的判斷
五 その歸結
第三篇 戰爭經濟表の確立
第九章 經濟表の戰時形態
一 經濟表の重要性
二 經濟表の新と舊
三 軍需生産の地位
四 循環過程の自給性
五 貨幣的循環と實物的循環
第十章 再生産論の方向
一 再生産論の意義
二 資本の再生産
三 質的把握
四 積極的展開への途
第十一章 統制と均衡
一 統制に於ける均衡の概念
二 現實の不安定均衡
三 自然的均衡と統制的均衡
四 戰爭經濟に於ける均衡
第四篇 戰爭經濟下の資本形成
第十二章 資本形成に於ける自由と統制
一 資本形成の意義
ニ 資本形成の一般法則
三 私的生産力によるメカニズム
四 資本の社會的生産力
五 資本形成に於ける統制の基準
第十三章 統制經濟下の資本形成
一 資本形成の諸形態
ニ 臨時資金調整法と總動員法第十一條の問題
三 資本形成の戰時形態
第十四章 節約の論理
一 節約の倫理と論理
二 節約と資本形成
三 節約の消極面と積極面
第五篇 現代の經濟學
第十五章 現代經濟學の主潮(特に理論のあり方について)
一 二つの傾向
二 理論のアウトノミーとの關係
三 理論への反省の要求
四 現代の理論と現代の問題
第十六章 最近の經濟學界
一 循環過程の再吟味
二 世界の問題と日本の問題
三 生活經濟學の立場
四 經濟倫理の主張
五 結び