【著者】 除村吉太郎
【発行】1948年
【頁数】290ページ
「インテリゲンチャ」はいうまでもなく知識階級ないし知識人のことを指すロシア語である。本書では「文化的知識人」とも呼ばれる。
ロシア・ソビエト文学の研究者であった除村吉太郎(1897-1975)は、現実の正しい把握とそれとの対峙こそが文学や文化にとって重要とする。そのためには、文化的知識人(インテリゲンチャ)が「現実と文学とのあらゆる関係を検討」するとともに、それを「労働者を中心とする勤労大衆との結びつきの問題として」(あとがき)深めていかねばならない、と説く。
戦後間もない時期の我が国文芸論のひとつの典型といえる評論集であるが、「私小説性から抜け出せ」と語られるその言葉には、文学あるいは評論をめぐる普遍的な問題提起を見出すこともできよう。
著者は、東スラブ人の古文書であり第一級の歴史資料として知られる「原初年代記」の翻訳(邦題『ロシア年代記』)をはじめ、ロシア文学の翻訳、評論などを数多く行い、戦後は日ソ親善協会の理事や日ソ学院院長を務めた。
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目次
I 現代文学と文学理論
人間関係を再現・批判せよ
文学者と世界観
民主主義文学の諸課題
小説について
芸術性とはなにか
リアリズムとロマンチシズム
「主体」か現実か
蔵原氏の「芸術論」を読む
私小説性からぬけ出せ
文学史の中心的課題
II インテリゲンチャと人民的民主主義
個人の努力について
知識人はなにをなすべきか
ふるい心理について
健全な文化のために
III ロシヤ文学から
ゴーリキーの「ロシヤ文学史」について
最近ロシヤ文学の世界史的意義
ソヴェート同盟における党文芸政策の発展
「エヴゲニー・オネーギン」について
「検察官」について
「桜の園」について
ロシヤ文学問答
あとがき