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民法雑記帳

【著者】 末弘厳太郎 著
【発行】1940年
【頁数】358ページ
本書は1940(昭和15)年に刊行された、 著者が戦前としては最後に発表した単著で、「法律時報」の同名の連載をまとめたもの。

著者は巻頭の論考「民法の独自性」の中で、資本主義社会の中では「商人」が標準的な存在であって、これに合わせて民法は漸次「商化」すると述べる。しかし著者は、商人ではない普通人は合理主義では割り切れない複雑な「人間」としての性格を持っているとして、次のように主張する。

「さればこそ権利濫用の法理・公序良俗の原理・信義誠実の原則等が民法の世界に於て特に其価値を発揮するのであつて、これこそ資本主義原理に反抗して人々の人間的要求を認容せんとする民法的原理に外ならないのであると私は考へる。此原理を学理的に組み立てる仕事こそ今後の民法学者に課せられた重いそして興味ある責務なのではあるまいか。」

なお、巻末には「附録」として、連載とは別の場所で書かれた関連論考を収録している。

(底本:1940(昭和15)年4月25日発行 初版)
販売価格 (PDFのみ):
2,640円(税込) 2,400円(税抜)
販売価格 (PDF+POD):
9,240円(税込) 8,400円(税抜)

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復刊済み

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目次

一 民法の獨自性
二 民法の商化と民法の將來
三 豫防法學としての民法學
四 行政的解釋の法源性
五 日本民法學の課題
六 技術の貧困
七 目的ある權利と目的なき權利
八 人格概念の中毒
九 法人學説について
一〇 私法學説としての國家法人説
一一 三の團體型
一二 民法第百一條と法人
一三 代理權授與行爲の性質について
一四 主債務者の取消權と保證人
一五 無效の時效
一六 時效の當事者
一七 時差を援用し得る「當事者」
一八 占有權の效力特に果實収取權について
一九 不動産の加工と地下の所有權
二○ 収去權と買取請求權
ニー 共有物の分割請求權と分割の訴
ニニ 所有者抵當に關する多少の考察
二三 抵當權と登記
二四 附從契約と行爲能力
二五 無償契約雑考
二六 継續的契約と民法第五百四十一條
二七 委任雑考
二八 信託法外の信託
二九 解除の性質について
三〇 債務不履行に因る契約解除と批害賠償
三一 無過失賠償責任と責任分散制度
三二 不法行爲としての殺人に關する梅博士の所説
三三 被害者としての家團
三四 不法行爲と第四百十六條
三五 損害賠償の賦割拂
三六 相隣關係に於ける「損害」と「償金」
三七 物權的請求權理論の再檢討
三八 妨害排除請求權の問題
三九 債權法の身分法への適用
四〇 身分法の特殊性と人事調停
四一 家の定義
四二 親子關係確認の訴
四三 同時存在の原則に對する疑ひ

附録
解釋法學に於ける法源論について
法源としての學説
適法行爲による「不法行爲」
音響・煤烟等の災害と法律
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